新時代

古くて新しい日本酒

日本酒でつながる『人と人』

私たちは福島との県境、宮城県山元町という人口1万人ほどの小さな町を拠点に活動しています。

宮城県山元町は2011年の東日本大震災で甚大な被害を受けましたが、全国から多くの方が復興ボランティアで訪れるなどたくさんの支援を受け、今でも交流が続いています。最近では、500名を超える大学生が毎年山元町を訪れ、地域の活動を支援したり、防災を学ぶなど新たな繋がりが生まれています。

そんな町で、これから何ができるかを語り合った際に「地元の米でオリジナルの日本酒を作れたら面白い!」という構想がありました。当初はいつか実現すればという程度でしたが、山元町の米農家さんや、挑戦的なお酒をつくる群馬県の酒蔵と出会いがあり、2024年にオリジナルの日本酒をつくることになりました。

今後は、日本酒を介して人と人がつながるイベントを開催したり、大学生達と新たな企画を立ち上げるなど、どんどん面白いことを展開していきます!

日本酒の今とこれから

ここ最近の日本酒は、ワインやサワー類と比べて、最初の一杯が縁遠い存在となっており、日本酒の生産量は右肩下がりとなっています。また、新規のワイン蔵やクラフトビールの醸造所が増加しているにも関わらず日本酒蔵の開業には許可が下りない(海外向け限定で許可)など閉塞感が漂っています。

一方で、2024年には「伝統的酒造り」がユネスコの無形文化遺産に登録されるなど、日本酒が見直されるきっかけとなりました。さらに、海外では日本酒の注目度が高まりつつあり、視点を変えれば日本酒はまだまだ面白くなるはずです。

そこで、私たちは従来の日本酒の製法や飲み方、販売方法などの常識を飛び越え、新しい日本酒像を模索していくことにしました。そして、その始まりとなるオリジナルの日本酒に期待を込めて『新時代』と名付けました!

「新時代」ができるまで常識をあえて疑う×想定外を楽しむ

『新時代』は、宮城県山元町産のひとめぼれをコイン精米所で削っただけの米(90%精米)で醸造しています。一般的に、日本酒は酒米を使用し、雑味の原因となる表面を削りますが、『新時代』は日本酒の常識とは異なり、食用米をそのまま使うことで米そのものの味を最大限に引き出しました。

酒用の米といえば酒米が一般的ですが、飯米でもお酒をつくることができます。酒米が選ばれるのは、粒が大きくて硬いために表面を削りやすいためです。なぜ削るかといいうと、米の表面に多く含まれているタンパク質がお酒の雑味の原因になるためです。このため、米の表面を多く削る吟醸酒は高級酒とされており、米を削る量が増えるほど価格も上がります。

また、酵母(アルコールを作り出す微生物)は、昭和5(1930)年に秋田県の新政酒造から分離された協会6号酵母に由来する601号を使っています。この酵母を使用した日本酒は品評会で高く評価されています。

今回のお酒は、醸造元に「淡麗辛口」となるように依頼しましたが、最終的に「豊醇(ほうじゅん)辛口」のお酒に仕上がりました。菌の力を借りるために、机上の計算通りに進まないのが日本酒づくりの面白さです。

そうした想定外を楽しみながらつくったお酒ですが、日本酒の味の指標となる各数値は以下の通りになっています。肝心の味は数値では表しきれないので、まずは飲んでみてください!2025年は限定1000本となります。

成分に関する指標

アルコール度数   15.8%
日本酒度      5.16
酸度        2.08
アミノ酸      2.19
グルコース     1.83

<日本酒度>
日本酒の辛口/甘口の具合を示す指標です。数字が高いほど辛口であることを示します。

<アミノ酸>
旨味成分の多さを示す指標です。

<グルコース>
糖分の多さをを示す指標です。

古くて新しいお酒とは?

『新時代』の裏ラベルには古くて新しいお酒と書かれています。

『新時代』は、添加物を一切加えずに米、水、菌だけで醸造する江戸時代の製法でつくられており、生酛(きもと)づくりと呼ばれています。この製法は手間と時間がかかり、管理が大変なことから、全日本酒中の1%程度しかありません。

それでも、最近では生酛造りに切り替える酒蔵が増えているようです。現代では、科学技術を駆使すれば均一なお酒を造ることが可能なのですが、結果として個性の少ないお酒が増加しました。このため、蔵独自の味を出すために生酛造りが見直されているようです。

一方で、『新時代』は、科学的なデータも積極的に活用しています。江戸時代の日本酒づくりは、たくさんの経験や勘を基に製造されていましたが、データを活用すれば、客観的な視点でお酒をつくることが可能となります。

こうした江戸時代の伝統的な製法(生酛づくり)と現代の科学を融合して醸造したものが、古くて新しいお酒です。

土田酒造について

今回、日本酒づくりを依頼した土田酒造は明治40(1907)年創業で、100年以上の歴史ある酒蔵です。現在は、人口3200人の群馬県の川場村で日本酒を醸造しています。

全国新酒鑑評会でも入賞するなど多くの表彰歴を誇りますが、現在の当主・土田祐士(6代目)氏は、酒造りの方向性を江戸時代の製法である生酛(きもと)造りに変えました。

現在は、「菌とともに楽しく造る」を掲げ、従来の日本酒に縛られない自由な発想で、実験的な日本酒づくりに挑戦する古くて新しい酒蔵です。醸造に使用する米は群馬県産の飯米を中心に、インディカ米、陸稲(おかぼ・畑で作る稲)などの珍しい米や、規格外となるくず米まで幅広く、様々な風味の日本酒を送り出しています。

#08 菌に頼る酒造り「土田酒造」を訪れる‐渡部豪太

『新時代』の飲み方、楽しみ方

おすすめの飲み方は「冷酒」です。常温では隠れていた酸味が際立ち、飲みやすい一杯に変化します。また、氷を入れたり、ぬる燗などで温度を変えることで、香りの変化を味わうことができます。

そして、開栓後に常温で保存することで味が変化します(黄色に変化しますが、品質に問題はありません)。最初の一口がイメージと違っていても、少し置くことでお好みの味が見つかるかもしれません。

ただし、直射日光は避けて保管してください。

取扱店について山元町限定の日本酒

『新時代』は一般の酒販店での取り扱いはなく、2025年5月3日(土曜)から宮城県山元町の洋菓子店Petite Joie(プチット・ジョア)様で先行販売中です。おかげさまで、販売初日は棚から商品が消えるほどの盛況でした。『新時代』は720ml瓶で2,800円(税込)となります。


宮城県山元町のふるさと納税返礼品にも登録されています。

今後、宮城県山元町の旧坂元中学校(廃校活用事業が稼働中です)での販売と、本サイトでの通信販売も行う予定です。

最新情報

2025年
5月3日‥山元町の洋菓子店Petite Joie(プチット・ジョア)様の店頭で先行販売が始まりました。

5月16日‥栃木県宇都宮市の和・酒佐とう様、すし和食久様に『新時代』を置いて頂きました。

5月22日‥tbcラジオ「en∞Voyage」に関係者が出演し、日本酒の紹介をさせて頂きました。

5月22日‥宮城県山元町のふるさと納税返礼品に登録されました。

5月30日‥店頭での販売本数が累計150本になりました。ありがとうございます!

6月2日‥現在、飲食店様を中心に非常に多くのご注文を頂いています。安定的にお届けするために、出荷本数の制限をお願いする場合がありますので、何卒ご了承ください。

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